
禁煙外来とは
喫煙は明らかに体にとって有害です。しかしながら、ニコチンなどの成分により依存性が生じ、止めづらいのもまた事実です。国がニコチン依存症を疾患としてとらえるようになり、保険診療で禁煙治療を行えるようになりました。
当院も保険診療で禁煙治療が行える医療機関のひとつです。是非、喫煙者の方は禁煙治療をお勧めいたします。
治療について
治療はニコチンが含まれるシール(ニコチンパッチ)を体に貼るという方法と内服薬による方法と2つが選択できます。
以下にそれぞれの違いを記します。
* |
ニコチンパッチ |
内服薬 |
作用 |
シールに含まれるニコチンが
体に取り込まれる |
ニコチンが脳の細胞に
結合するのをブロックする |
通院期間 |
3か月 |
3か月 |
禁煙法 |
パッチを貼った時から完全禁煙 |
内服しながらたばこを吸ってもよい
(内服開始1週間まで) |
すべての費用
(3割負担として) |
約12000円 |
約18000円 |
副作用 |
テープを貼ったところがかぶれる |
吐き気 |
●期間について
3か月かけて禁煙治療を行います。3ヶ月の間に5回外来に来ていただきます。
ニコチンパッチの場合、3割負担として、診察代、ニコチンパッチの代金すべて含めて3か月で約12000円です。内服薬による禁煙を選択した場合約18000円です。
●診察と検査について
問診で喫煙歴など調べ、保険で治療が可能かどうかチェックいたします。喫煙歴が短かったり、1日の吸う本数が極端に短い場合、またニコチンの依存度が低い場合は保険の適応にならない場合があります。
吐いた空気の中の一酸化炭素濃度を調べ、どれくらい体が酸素欠乏になっているか調べます。
●アドバイスについて
これから始まる禁煙治療を成功させるためのアドバイスをいたします。
●ニコチンパッチについて
ニコチンが含まれたシールを体に貼り、禁煙を行います。シールに含まれたニコチンが皮膚を介して体内に取り込まれ脳がたばこを吸っていると勘違いしてくれます。徐々にパッチのサイズを小さくしていきます。シールにニコチンが含まれているため、パッチを貼った状態でタバコを吸いますとニコチンの多量摂取となりますのでパッチを貼っている状況ではたばこを吸ってはいけません。
●内服薬について
内服薬(チャンピックスといいます)による禁煙法は平成20年5月より日本でも行えるようになりました。アメリカなどではすでに使用されており、ニコチンパッチを使用するよりも禁煙成功率は約10%高いという報告もあります。
脳の細胞にニコチンがくっついて、それによりドパミンが放出され、「たばこって気持ちいい」と感じるわけですが、内服薬の成分がニコチンの脳細胞への結合をブロックします。それによりたばこを吸っても「気持ちいい」、と感じなくなるところが大きな特徴です。
禁煙開始の1週間はチャンピックスを内服しながらたばこを吸ってもかまいません。おそらくたばこを吸ってもおいしく感じないはずです。そこがニコチンパッチによる禁煙法と大きく異なるところです。
内服初期に吐き気を認めることがあります。なるべくそのような副作用がおきないように、少量内服から開始します。
喫煙の害
喫煙は生活習慣病よりも寿命を縮めると言われています。他の人が吸っているたばこの煙を吸うだけでもアスベストより危険性が高いという報告もあります。それだけ危険性が高いたばこですが、さらに厄介なことはニコチン依存という、ニコチンがないと身体的精神的につらくなるという状態になってしまうということです。
ニコチンパッチや内服薬を使えば必ず成功するというものではありません。やはり本人が止めたいという意思が大切です。それがまずあって、そしてシールや内服薬により禁煙成功率が高まるというのが禁煙治療です。
せっかく保険診療ができるようになったのですから、是非禁煙治療を始めましょう。
[ホームへ]
|